#OVER TIME
高校3タイトルではないメディア向けの試合とはいえ、挑戦者として負けるつもりなどさらさらなかったので、更衣室に戻った一同も不完全燃焼感は否めなかった。
「あまりにも我が明徳女子は全国強豪高の一つとして急成長してしまった。どうしてもその歩みが追い付いていけなかった。今日負けてしまったのは、経験不足もあり、私の指導不足だ。」
猛省したかのように野村監督の真っ赤に涙で腫れた目で部員達の顔を見つめながら話した。
「全国の練習試合や遠征をしていくうちに必ず全国で勝ち抜ける本当の強さを君たちには身につけさせる。本当に申し訳なかった。」
誰も監督を責めてなどいない。
不思議と悔しさはあるものの、悔いはないぐらい精一杯だった。
「あー、帰ったらまずスタミナつけっかな。走り込むぜ。」
だからか、未茉もすっきりとした表情でチームチャージを振り回しながらもう次を見ていた。
「頑張ろう。」
元々無口でクールな二年の女子もその言葉に頷くように静かに心で闘志を燃やしていたに違いない。
「うっうっ…」
「ごめん、キタロー君・・・怖い。」
だが、スコアブックに涙が滲んでしまう程の大粒の涙を流し、唇を噛み締めて泣き啜る不気味なキタローへは、みんなから痛い視線が送られた・・。