#OVER TIME
スター兄弟と幼馴染みである未茉は、幼い頃から二人に愛されて育っていた。
兄がわりとして接してきたらしいが、女子からの絶大な人気を博すこの非の打ち所もない健に関しては、未茉もつい最近まで翔真と天秤をかけるほど悩んでいた。
(10年以上思い続けたのに、二人の姿見るの辛くねぇのかな…健さんあっけらかんと笑ってるし。怪我してるし、今はそれどころじゃねぇのかな)
あまり未練を感じさせない態度に結城は益々その器の大きさを感じた。
(白石も本当にわずかなさで翔真を選んだって感じだよな。翔真には言えないけど、こんな完璧な男に思われてたら俺も選べないだろうな・・)
そして三上も親友の恋敵にも関わらずリスペクトをしてしまう程、同性から見ても、健は手の届かない存在だった。
「やっほぉーいっ!!お待たせ!お前らの分も買ってきた…おわっ、健達来てたの!?」
両手いっぱいに揚げ物を持って現れた未茉と翔真は、スター兄弟の姿に驚いている。
「ああ。っーか、すげぇ量だな・・・」
「明けましておめでとう。未茉。ニューイヤーカップ頑張ってたな。」
まるで翔真を無視して隣に座って話出す匠を見て、椅子をとられてしまった翔真にプッと健は笑いを堪え、
「よぉ、湊。あけおめ。」
「明けましておめでとうございます…健さん。」
いまだに彼女との接近は恐れるあからさまな翔真の強張った表情に、健は笑いが止まらないが、
「ま、今年も宜しく。色んな意味で?」
肩をぽんっと叩き、一枚も二枚も上手な笑みで人をからかうように挨拶をしてくるいやらしさは今年も健在なようだ。
「いや、バスケのみで宜しくお願い致します。」
にっこりと率直にお断りするも、
「それはどうかな~♪」
「イラ・・・」