#OVER TIME
「妬いてる?」
胸にあった不安を翔真は未茉を自分の隣へと座らせて訪ねた。
「なんっーか・・あの敵意丸出しの笑顔に対してはイラつくだけで、それがお前を好きなように好きかっていうのはまた違うな。」
健への未練が薄れたのか、わりとさっぱりした表情の未茉に驚いたのは翔真の方だった。
「そっか。よかった。」
「おう。翔真と付き合ってからもっとお前のことを好きになったぜ。」
「あー…キスしたいなぁ。」
「すりゃいいじゃん?」
「さすがになぁ…」
選手入場のセレモニーが始まると場内がライトダウンし、翔真は嬉しそうにそっと未茉の手を絡める。
「うわっ・・・手がベトベト・・・」
「ああ、わりぃ」
えへへと揚げ物をむしゃぶり食べていたことをすっかり忘れていた翔真であった・・。
そんな様子を見ていたのは、匠の方だった。
「おっ!!監督の清二さん出てきた!!かっけぇ!!」
興奮を隠せず、結城と三上はたまらず立ち上がった。
「酒好きであんなに気さくな方なのに、試合になると口数少ないしオーラが違うよなぁ…」
全貌の眼差しを向けていると、
「やべ、食いすぎの飲み過ぎでなんかトイレ行きたくなった。」
マイペースな未茉の突拍子もない発言に、
「マジかよお前・・もう始まるぞ」
結城に睨まれるも、
「すぐ戻る!」
「大丈夫?一人で行ける?」
「へっきへっき!出てすぐ右だから大丈夫だぜ!」
「おまっ、過保護すぎな・・」
心配しすぎな翔真に結城は呆れている・・。