都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ねえ、名前教えて。下の名前」

「……仁奈」


甘い酩酊感の中、今更名前を聞かれてやっぱりクズだなと思った。
佐久間って、これまで名前も知らなかったような女を抱けるんだ。

クズはクズでも女の扱いを熟知してるクズ。
じゃなかったらこんな簡単に身体を許すわけない。

そっと胸に触れてきて指先で遊ばれる。
私は情けない声を上げてとっさに口を塞いだ。


「気持ちいい?」

「ひゃ、やだ、っ……」

「あのさぁ、ほんとにしたくないならもっと嫌がれよ」

「やぁ、だ…!」


抵抗する気がないことに気づかれて、するっと脚の間に伸びた佐久間の手を掴んだ。


「だーめ、足閉じんな」

「んぅ…いじわる」

「……仁奈、それを煽ってるっていうんだよ」

「ちが、んっ」


こっちは余裕がないのに煽るわけない。
そう言いたいのにキスで口を塞がれて反論できない。


「こんな濡れてたらもういい?
なんか、久々にやべー。我慢できない」


体勢を変えた佐久間は自身のたぎる熱を擦りつけてくる。
下腹部がきゅうっと疼いて受け入れる準備ができてしまった。


「ダメ?」

「せめて、ゴム、して」


首の皮一枚になった理性では、避妊してとお願いするのが精一杯。

しばらくしてぼんやりとした意識の中、佐久間に両脚を掴まれて気が引けた。後ずさりしようとしたけど叶わず。


「なんで逃げんの」

「待っ、あぁっ!」


いいなんて言ってないのに、自分の身体はすんなり受け入れてしまった。

だけど佐久間は眉間にシワを寄せて苦しそうな顔をしていた。
……早く、動いてほしいのに。


「佐久間、さん?」

「中きっつ……いつからしてねえの?」

「1年、くらい……んっ」


まだ佐久間のそれに慣れてないのに、ぐいっと奥を突かれて声が上擦る。
ちょっと動いただけなのに気持ちいいと思ってしまう自分が怖い。


「仁奈ちゃんかわいい」

「あ、ッ…はげし、…やだぁ」


急に激しくなった動きとベットの軋む音。
覆い被さるみたいに抱きしめてくる佐久間の吐息が耳にかかってゾクゾクする。


「あー……ハマりそう」


佐久間の声が耳に響いて心地いい。

酔いと熱で思考はドロドロに溶かされて、押し寄せる快感の波に対処しきれない。
結局私は最後まで佐久間にすがることしかできなかった。
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