都合のいい女になるはずが溺愛されてます
部屋に戻って準備して、9時半には美術館に着いた。
屋外に展示されている様々な作品を見て触って写真を撮って私としては大満足。

館内はGW期間中ということもあってか、子連れで来ている人が多い印象だった。
駆け回る子どもたちの楽しそうな声が聞こえて、かわいくて癒された。


「仁奈って子ども欲しいと思う?」

「……え?」


突然の質問に、聞き間違いかと思って怪訝な顔をしてしまった。
しかし佐久間はこてんと首をかしげるだけ。
どうやら今の質問に意図はないらしい。
たぶん本人は何気なく聞いただけなのに、変な期待しちゃって恥ずかしい。


「えっと……小さい頃は弟の世話にうんざりしてたんでいらないって思ってたけど、最近は30までに子どもができたらなと思います」

「は?弟いたの?」

「9歳年下の双子の弟がいます」


そう言ってスマホの写真フォルダから弟たちの写真を見つけて「ほら」と見せた。
佐久間は立ち止まってその画面を見て、少し目を見開いた。


「あー、なるほど。だから仁奈は俺になびかないわけだ」

「はい?」

「イケメンじゃん、弟くんたち」

「んー、弟だからイケメンかどうかは分からないです。
それに佐久間さんとは系統違うと思いますけど」


でも確かに弟たちは昔から女の子にモテる。
沖縄出身、濃い顔のお父さんに似た双子はよくハーフに間違えられるくらいだし。

でも佐久間の方がスッキリした顔をしていて私は好き。
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