都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「弟いたんだ、知らなかったー。
てか仁奈って自分の話全然しないよね」

「そうですか?」


そりゃあ、将来を望める人なら自分からいろいろ話すと思う。
でも佐久間はそうじゃない。
いつ終わるか分からない関係なのに私の身の上話を喋ったって意味が無い。


「9歳年下ってことは今17?弟たち反抗期?」

「私に対してはないですね、仲良いと思います。
夏休みになったらふたりともこっち来てくれるって言ってました」

「じゃあその期間は俺と会えない?」


将来を約束できない男なのに、なんで寂しそうな顔をするの?


「そうですね、さすがに彼氏でもない男を紹介したらあの子たち怒ると思います」

「だろうね。なんか話聞く感じ、弟たち仁奈のこと好きそう。
だって姉ちゃんに会いにわざわざ東京に来ねーわ」

「私に逢いに行くって名目で東京に旅行に来てるようなものですけど」

「いや相当好きだと思うよ。俺も姉弟仲そこまで悪くないけど、だからって学生の時に一人暮らししてた姉ちゃんの家に遊びに行ったことはない」


ふーん、ビンタされたことあるって言ってたけど姉弟仲はそんなに悪くないんだ。
佐久間の新情報を知って少し得意げになる。
そうして館内を進んでいくうちに、お目当ての展示品にたどり着いた。
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