都合のいい女になるはずが溺愛されてます
一際目を引く大きな塔。なんと壁面は全面ステンドグラス。
中から見ると太陽の光で神秘的に輝いて圧巻。
さらに塔の中の螺旋階段が幻想的な雰囲気を醸し出している。


「うわ、すっげー……」


佐久間は立ち止まって上を見上げる。


「なんかこう、一言で表せない。これは圧巻」

「ですね、しかも天気がいいからすごく輝いて見えます」


芸術が分からない私でもこの作品は本当にすごいと思う。
見とれていたらすぐ近くでカシャ、と音がした。


「え、撮りました?」

「うん、ほら綺麗な横顔」


横を見たら佐久間がスマホを構えていた。
撮った写真を見せてきたので覗いたら確かにいい感じだ。


「佐久間さん上手ですね」

「被写体がいいから」

「……すごいですね、そういう言葉がすぐ出てきて」


さらっと褒められてときめいてしまったから嬉しいのをこらえた。


「だから俺は嘘つかないって。俺は特に斜め45度から見る仁奈の顔が好き」

「なんですかその微妙な角度」


なんか今日、やけに褒めてくるじゃん。
恥ずかしくていたたまれなくて螺旋階段を登ることにした。
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