都合のいい女になるはずが溺愛されてます
クズの心変わり
「あーー、うんそっかぁ。クズな男って魅力的だもんね、分かるよ」


心は少し苦しそうに頷きながら言葉を選んで話に乗ってくれる。
こっちの事情を汲み取ってむやみに否定しないところ、好き。
普通ならそんな男やめとけって一方的に言われておしまいなのに。


「仁奈って結婚願望あったっけ?」

「うん、30までには子どもが欲しいから逆算して29までには結婚しないといけない」

「分かる、そろそろ本気出さないとヤバいと思ってる」

「何言ってんの、心はもう玉の輿に乗ったようなもんじゃない?」

「いやー、慎重にいかないと。変な男に引っかかりたくない──」



「お嬢さん方、休憩室のドア開いてるからガールズトークしてたら筒抜けですよ」


心が顔をしかめたその時、不意に佐久間の声がした。
声のした方を慌てて見ると、出入口のドアを締めながら佐久間がこっちに近づいてくる。

え……どこから聞いてたの!?
< 131 / 263 >

この作品をシェア

pagetop