都合のいい女になるはずが溺愛されてます
次の日、同じ場所で同じ時間に食事をしていたら休憩室のドアが閉まる音がした。
換気のために空けてたのに誰か閉めたのかな──と音のする方に顔を向ければ、昨日のデジャヴか佐久間がそこに立っていた。


「え、佐久間さん」

「おつかれー」

「……おつかれさまです」


缶コーヒーを片手に私の座ってる机に近づいてくる佐久間。
そして正面に座ると、私のお弁当箱をじっと見つめた。


「今日の弁当オムライス?いいなー」

「食べづらいのでそんな見ないでください」

「一口ちょうだい」

「いつ人が来るかわからないからダメです」

「じゃあ今週末作って」


恥ずかしいし誰かにふたりでいるのを見られたら困るのに、佐久間は余裕の表情。


「分かりましたから、早くどっか行ってください」

「なんで?」

「誰かに見られたら佐久間さんが困るでしょ」

「別にいいよ」


予想外な返答ばかりで困る。久々に佐久間のペースに振り回されてる感じがするな。


「ていうか、よく私がここにいるって分かりましたね」


振り回されるのは嫌なので話題を変換することにした。
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