都合のいい女になるはずが溺愛されてます
あの夜から3日後、職場のトイレで鏡に映る自分を睨むように見つめながら後悔していた。

どうかしてた、なんでよりによって佐久間と?
あー……こんなことなら意地張ってメイクとかしなきゃよかった。
さすがに会社の人間とそういう関係になるのは気まずい。

だけどあの男のセフレになる気は更々ないから気を強く持たないと。
ワンナイトが目的ならそれでいい。いや、男としては最悪なだけど、私としてはそっちの方がいい。


「おっ」

「う……」


意気込んでトイレを出たら佐久間に出会った。
相変わらず涼しい顔をして腹立つ。
あぁ、もう……ついてなさすぎでしょ。


「よかった、ちょうど遠藤さんに会いに行こうと思ってて」

「そうですか、私も出くわしたら話したいことがあったんです」


私は佐久間の腕を掴んでトイレの横の給湯室に入った。
廊下には誰の気配もない。ここで言ってしまおう。




「どうかこの前のことは忘れてください」




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