都合のいい女になるはずが溺愛されてます
次のアトラクションに行く前にショップに寄って、2人でお揃いのグッズを買った。


「佐久間さんがこういうのしてくれるとは思いませんでした」

「付けてみたら案外似合っててアリだなと思って」


次のアトラクションに向かう前に、本当に良かったのかなと思って話しかけたら結構ノリノリ。
確かに違和感がなくてむしろ似合っている。


「とりあえず仁奈とお揃いって珍しいから撮ろう」


佐久間は嬉しそうにスマホを構えて写真を撮る。
笑顔の佐久間の隣に映る私は満更でもない顔で笑っていた。
え、変なニヤケ面してる。


「さて、次行こう」

「撮り直しません?私変な顔してたかも」

「別にかわいいと思うけど」

「佐久間さんのかわいいは信用できません。
私の寝顔ですらかわいいって言うじゃないですか」

「あれはマジ。ついでに言うと、寝顔観察は起きた後の仁奈の反応がかわいいからやめられない」

「もう佐久間さんと寝ません」

「本当に?」


急に立ち止まって顔を覗き込んでくる。
嘘に決まってるじゃん、分かってるくせに言わせたがるの性格悪いと思う。


「嘘、です……」

「あは、だよね」


睨みながら言ったのに佐久間は意地悪な笑みを浮かべて満足している。
ほんと、調子のいいやつ。頭ではそう思うのに心は矛盾してからかわれても嬉しいと感じる。

あーあ、本当に佐久間のこと好きになっちゃったなぁ。
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