都合のいい女になるはずが溺愛されてます
午前中に目標の半分のアトラクションに乗れたから、いろいろ食べ歩きながらゆっくり移動することにした。


「あ、ショー始まりましまね」

「ほんとだ、見ていく?」


橋の上に歩いていたら、水上で行われるショーが始まったので立ち止まって見ることに。


「え、七夕のイベント?もうそんな時期?」

「まだまだ先と思ってたらすぐ来ますよね」

「俺はそれよりもう昼過ぎだってことにビックリしてる」


橋の欄干に体重をかけてダルそうにする佐久間。
軽快な音楽が流れる中、彼は苦笑いをした。


「今度来る時は2日間でゆっくり回ろう。アラサーにはキツい」

「今度っていつですか?」


『また』とか『今度』とか、その言葉を聞く度どうしてか苦しくなる。
我慢できなくてショーから目を離し、ついに問いかけてしまった。


「来週?」

「は?いや……急すぎますよ」

「けど早いうちに仁奈ともう一回行きたい」


真剣に受け答えされたけど信じられない。
それが実現するまでは私は佐久間を疑い続けると思う。

恋は時に嫉妬心で人を醜くする。

私に飽きたら佐久間が選ぶであろう、顔も知らない女に嫉妬する。
ふと楽しいはずなのにため息が出た。
おかしいな。今日の私、なんだか情緒不安定だ。
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