都合のいい女になるはずが溺愛されてます
ピコン、通知の音が聞こえて目が覚めた。
誰からだろうと思って起き上がろうとしたら佐久間にがっちり抱きつかれてることに気がついた。

そういえば佐久間の家に泊まったんだ。
寝ぼけながらとりあえずスマホを見るために佐久間の腕をどかしてベットから這い出た。


《お父さんもうダメかもしれん》


メッセージの差出人は父親だった。
え、急に何事?
心配して返信したけど一向に反応なし。何かあったの?


「仁奈〜?」


不安な気持ちになったけど、佐久間の間抜けな声で気が抜けた。


「もう起きる?」

「二度寝したい気分だけどちょっと電話していいですか?」

「誰に?」

「母です」

「ああ、どうぞ」


寝ぼけてるのに嫉妬する気持ちはあるのか、目を細めて怪訝な顔をする。
でも身内だと伝えたらもぞもぞ布団に潜った。

寝ぼけてるから聞かれてもいっか。
私はその場でお母さんに電話をかけた。
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