都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「あ、お母さん今電話大丈夫?」

『うん、オッケーよ〜どうした?』

「あの、お父さん大丈夫と?もうダメかもしれんって連絡きたから実家帰ろうと思って」

『あっはは!来んでよか、ただのぎっくり腰やけん』


心配してかけたら、ぎっくり腰だったらしい。
なんだ、ぎっくり腰か。いや、かなり痛いだろうけど。
想像してたより深刻な問題じゃなくてよかった。


「あーー……やっちゃったかぁ」

『仁奈が優しいけん、話聞いて欲しくてメッセージ送っとーったい』

「やったら話し相手にでもなりに帰るよ」

『あら、無理せんでいいよ。お盆にゆっくり帰っといで。
あ、その前に類るいと麗れいがねーちゃんに逢いに行くって張り切っとったからよろしくね』

「はーい、お父さんのことたまには労わってあげてってふたりに言っとって」


もやもやが解消されたので、さあ二度寝しようと振り返ったら佐久間と目が合った。
え、いつから聞いてたの?


「実家のお父さん大丈夫だった?」

「ただのぎっくり腰だそうです」

「あー、そりゃ弱気になるわ。あれ相当キツイって言うもんね」

「そうなんですね」


すっかり眠気が覚めたらしく目がパッチリ開いている。
寝起きなのに顔むくんでないってなんなのこの男。
じろっと見ていたらその綺麗な目がこっちを向いた。


「てか電話聞いて思ったけど地元福岡?そのギャップずるくない?」
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