都合のいい女になるはずが溺愛されてます
ずるい、の意味は分からないけど佐久間が興奮しているのは伝わった。


「俺生まれも育ちも東京だから方言ってすごい新鮮」

「よく福岡って分かりましたね」

「うん、福岡の支社に行った時に博多弁かわいいなーと思って。
おっさんが「なんしようと?」って言ってもかわいいもん、あれずるいわ」

「え、おじさんにときめいたんですか?」

「おじさんが使ってもかわいいって思うから、好きな子が博多弁だったら相当かわいいってこと」

「ふーん」


好きな子……か。
面と向かって言われると嬉しくて変な反応をしてしまう。


「仁奈が福岡出身と聞いて俺の中の株が爆上がりしてる」

「それは、どうも……」

「今度博多弁教えて」

「覚えてどうするんです?」

「覚えたら仁奈の両親の好感度上がるでしょ?」


ほぼ付き合ってるようなものだけど、既に両親に会う時のことを考えてるとは思ってなかった。
佐久間が本気がうかがえて、嬉しいけど照れくさい。
顔を見られないように口元を隠しながら笑った。
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