都合のいい女になるはずが溺愛されてます
その週末に佐久間に告白されることはなかった。
いつ告白されるのか構えながら迎えた翌週の金曜日。
佐久間が泊まりに来るから、と楽しみにしてたせいかいつもより週末までの道のりが長く感じた。

やっとお昼休みになったからお弁当を持って休憩室に向かう。
いつもより休憩が遅くなったからお腹空いたな。

だけど休憩室に入ろうとした時にふと話し声が聞こえて立ち止まった。


「へえ、よかったじゃん」


佐久間の声だ、誰と話してるんだろう。


「じゃあ綺麗になったの俺のおかげ?」

「は?自惚れないでよねクズのくせに」


そっと覗いて言葉を失った。
ふたりきりの休憩室で親しげに話すふたりの男女。
片方は受付の白井さんだった。

なんで、仲良さそうにしてるの?
白井さんは都合のいい女にされたのに、なんで笑ってられるの?


「あんたにされたことまだ許してないから。忘れないでよね」

「あんな強烈なビンタ食らったら忘れるわけねーじゃん」


ていうか佐久間、私に告白すると言っておいてそれはないでしょ。


「あ、遠藤さん」


妬ましくて様子を見ていたのに、こっちに気がついた佐久間は悪びれることなく笑顔で私に手を振った。
そういう態度を取るってことはやましい気持ちはないってこと?

でもイライラする、今佐久間と顔を合わせたくない。
空腹も忘れて、とっさに元来た道を引き返した。
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