都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「え?」


『今から飲み行く?』みたいなノリでそれ言っちゃう?
佐久間は聞き返しただけで返事をしない私の様子を見て笑顔を崩した。


「スマートな告白とか言ったけど無理だわ。嫉妬するくらい俺のこと好きなら付き合ってほしい。
てかそういう流れじゃなかった?」

「……」

「仁奈の口から答え聞かせて」


答えを迫られて私はついに想いを口にした。


「佐久間さんのこと、好きです。
でもいつか飽きられるんじゃないかって思うと怖いです」

「飽きそうな相手に自分から告白しねーよ。
だいたい、俺から告白するの初めてだし」

「は?」

「あれ、言ってなかった?俺人生で一度も自分から告白したことない。仁奈が初めて」

「嘘でしょ……」


佐久間の顔なら女に困ることはなかっただろうとは思ったけどレベルが違った。
たぶん喜ぶポイントなのに予想外のエピソードに開いた口が塞がらない。


「つまり、仁奈に対してはそれくらい本気ってこと」

「……」

「まだ信用できない?じゃあ、俺のスマホのパスワード教えたげる。いつ見てもいいよ」

「バカなんですか?」


黙り込む私に新しい提案をしてくれたのに鋭いツッコミが声になって飛び出た。
いやさすがには今の一言はひどすぎる。
謝ろうとしたら佐久間はいつになく嬉しそうに笑っていた。
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