都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ねーちゃんこれ誰の歯ブラシ?」


うわ、早速バレた。
類は佐久間の歯ブラシを片手には怪訝な顔をしている。

私は9歳離れた弟たちに、ぶっちゃけ好かれていると自負している。
だからなのかふたりとも私に対しては若干過保護だ。
厄介な解釈しなければいいけど。


「……彼氏の」


そう思いながらボソッと告白した。
あれ、何気に誰かに付き合ってるって言うの初めてだ。
今までは付き合ってるわけじゃないしって、ずっと秘密にしてたから。


「は?彼氏おると?」

「マジ、ねーちゃん彼氏できたん!?」


麗は私の小声に瞬時に反応し、類は大方予想はついてたくせに心底ビックリしていた。


「は?何歳?なんの仕事しようと?」

「類、ちゃんと答えるけん歯ブラシ戻してきて」

「あ、はーい」


詰め寄ってきた類を制してふう、とため息をつく。


「彼氏の写真見せて」


しかし今度は麗が距離を縮めてきて、さすが兄弟だなと苦笑いした。
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