都合のいい女になるはずが溺愛されてます
仕方なくスマホのアルバムから探して、一緒に写ってる佐久間の写真を見せた。
えーっと、これは箱根の美術館に行った時の写真だな。


「うわ、イケメン」


どれどれと覗き込んだ麗は目を丸くする。


「え、麗が褒めるなんてよっぽどイケメンやん。見せてねーちゃん」


するといつの間にか戻ってきた類が興味津々にスマホのディスプレイに注目する。
映し出された佐久間の顔を見て類は目を細めた。


「やば、ガチでイケメン……でも遊んでそう。こげん顔が良かったら」

「仁奈姉には申し訳ないけど、それ俺も思った」

「いやでも、写真だけやったら分からんやん?
会ってみらんとなんとも言えん」

「確かに、とりあえず他に写真ないと?」


勘のいい弟たちに佐久間が元遊び人だと速攻バレた。
これ以上悪い印象を与えないようにいろいろ写真や動画を見せたけどふたりともいい顔はしてくれない。


「やっぱりさぁ、本物連れてきてくれんと分からんっちゃけど」

「大阪に出張中だから無理だよ」

「いつ帰ってくる?」

「先週から1週間やけん、明日か明後日かな」

「ふーん、俺らが会いたいって言ったら会ってくれそう?」

「あー、ちょっと連絡してみる」


やっぱり会いたいって言い出したか。
弟たちは私が元カレに散々な振られ方をしたから、私の彼氏になる人に対してちょっと厳しい。
佐久間嫌がりそうだなー、と思いながらその趣旨のメッセージを送っておいた。
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