都合のいい女になるはずが溺愛されてます
翌日、18時頃。佐久間からそろそろ家に着く、との連絡を受けてドキドキしながら家で待っていた。
するとガチャ、ドアの開く音がしたので私だけ玄関に向かった。


「仁奈、ただいま」


そこには両手に紙袋を抱えた佐久間の姿が。
わざわざ大阪のお土産買ってきてくれたの?


「おかえり。疲れてるのにわざわざごめんね」

「なんで謝んの。俺は弟くんたちがいるから会えないと思ってたのに会えて嬉しい」


あー、もう。弾けるような笑顔で嬉しいなんて言わないでよ。
ただでさえ1週間ぶりに会えたから感情を抑えきれないのに。


「うっわ、背ぇ高っ、バリイケメン」


たまらずニヤけたら背後から類の声が聞こえた。
は?いつから見てたの!?


「あ、噂の弟くん?初めまして、佐久間陸です」

「初めまして〜、遠藤類です。お兄さんめっちゃイケメンっすね」


まったく人見知りしない類は笑顔で玄関に来て佐久間と挨拶をする。
あれだけ敵対視してたけど、いざ会ったらウェルカムなムードでよかった。
類は大丈夫だけど、麗はどうかなぁ。


「あは、ありがとう。類くんも写真で見るよりずっと男前だね」

「え、写真見たんすか?」

「そうそう、仁奈に見せてもらった」


そんな心配をよそに、佐久間と類は談笑しながら部屋の中に入った。
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