都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ごちそうさまでした」

「はーい」


店から出て佐久間の車に乗り込む。
弟たちの一言に、佐久間は間延びした返事をしてご機嫌っぽい。


「類くんと麗くん、仁奈の家泊まるの?」

「はい」

「あの狭い部屋に3人はキツくない?」


ハンドルを握りながら後部座席の弟に話しかける佐久間。


「ホテル借りるより断然いいし、ソファーベッドやけん大丈夫」


類が答えると麗は「寝袋もあるし」と付け加えた。
確かに佐久間の部屋なら余裕だろうけど、私の部屋に3人は結構キツい。


「次来るの冬休みの時?」

「うん、たぶん」

「じゃあその時には広い部屋だからいいね」

「へ?」


そう思っていたら佐久間がこっちに目配せしていた。
え、その話題振っちゃう?


「あれ、仁奈引っ越すってまだ行ってない?」

「あー、うん……言ってない」

「引っ越すって、もしかして同棲?」


いいよどんでいると察した麗が食い気味に質問してきた。


「うん、まだ考え中だけど2LDKは欲しいかなって話してる」

「てことは、付き合って1か月で同棲!?」


類に限っては大声でびっくりしてる。
もう、そういう心配されるからあえて言わなかったのに。
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