都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「陸さん、今日会えてよかったです。
ねーちゃんをよろしくお願いします」

「こちらこそふたりに会えてよかった。仁奈とは仲良くやってくよ」

「けど仁奈姉を悲しませたらカチコミに来ます」

「えー、急に物騒」


車をマンションの下に停めて一旦外に出た。
すると双子たちは対照的に佐久間に挨拶するものだから笑ってしまった。


「そんなに心配ならまたおいで。お義兄さんが相手してやるから」

「いやまだ認めたわけじゃないですから」

「手厳し〜」


佐久間は調子に乗って自分のことを『お義兄さん』とか言うものだから麗に睨まれてた。
キリがないな、この人たちの会話。


「ふたりとも、先に家に入ってて」


私は麗にマンションの鍵を渡して先に帰ってもらうことにした。


「ウケる、麗くんまだ睨んでる」


麗はよほど佐久間の対応が嫌だったのかオートロックを解除しながらチラッと睨みを効かせていた。
私はふたりが見えなくなってから佐久間に軽く頭を下げた。


「その、いろいろとごめんなさい」

「なんで謝んの?弟たちキャラ濃くておもしれーじゃん」

「でも疲れてるのに来てもらったし、弟たちに詮索されるの嫌だったかもと思って」

「確かに彼女の家族の付き合いってめんどくさいよね。赤の他人なわけだから」

「……うん、そうですよね」

「けど仁奈は別。仁奈が好きだから、仁奈が大切にしてる家族も大事にしなきゃって思う」
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