都合のいい女になるはずが溺愛されてます
これで平和な日々が訪れると思ったのもつかの間、一件落着とはいかなかった。
どうやらあの女、俺と仁奈が付き合ってると社内の人間に言いふらしたらしい。

おかげでここ最近好奇の目に晒されてると思った。


「聞いたよ遠藤ちゃん!あの佐久間くんと結婚するって!?」


仁奈に矛先が行く前に火消ししないと。
そう思って事務室に行ったらもう遅かった。
事務の噂好きなおばさん2人に囲まれてる仁奈は困惑の表情。

てか、付き合ってるだけなのに結婚するになってるのウケる。
俺はその気だから別にいいけど。


「やめときなってあの人たらしは!痛い目見るよ!」

「そうよ、顔だけの男なんていっくらでもいるんだから!」


あれ、ゴシップネタに食いついただけかと思ったら心配されてる。
過去の女癖を省みたらそりゃそうか。


「仁奈〜、これ人事部までよろしく。
あれ、お邪魔しました?」


あえて会話に割って入ったらおばさんたちはハッとした顔で俺を見つめる。
どう出るかなと様子を伺っていたら、おばさんふたりが仁奈をかばうように抱きついた。
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