都合のいい女になるはずが溺愛されてます
なんだかんだで仁奈と付き合って4ヶ月過ぎた。

その日は営業部で集まって会議をしていた。議論が白熱していたところ、コンコンとドアをノックされる音が響いた。
誰だ?と思ってチラッと視線を向けたら仁奈だった。


「失礼します、お呼びでしょうか」


けどお呼びでしょうかってどういうこと?
誰も呼んでないはず……とその場にいた全員が顔を見合わせる。


「ん?呼んでないよ」

「え?そう、ですか。会議中に失礼しました」


部長が悠長に話しかけると仁奈は少し焦った表情で頭を下げる。


「もしかして誰かに呼ばれた?」

「さっき広報部から内線があって、急用だから会議室に行ってほしいと言われたんですが、私の勘違いだったようです。申し訳ありません」

「いや、いいよ。なんの用だったか僕から連絡しておくから自分の仕事しておいで」

「……すみません、お言葉に甘えます」


広報部と聞いてなーんか嫌な予感がした。
もしかしてあの彩乃とかいう女に仕組まれた?
仁奈に恥かかそうとしてるとか……考えすぎか。
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