都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ま、十中八九遠藤さんのポジションを分かってない新卒の仕業っしょ。
だって遠藤さんが居なくなると雑用誰もしないもん。
それが分かってる人間なら追い出すような馬鹿な真似しないし」

「仁奈がいなくなったらあっという間に備品尽きるしオフィス汚くなりそう」

「ですよね、総務のメンツの中で一番仕事できるからいなくなったらかなりヤバい」

「だよね、俺も同じ意見」


2人の言う通り、仁奈は仕事ができるから重宝されてる。
たかが総務、されど総務だ。縁の下の力持ちってやつ。
責任のない雑用ばっかりで楽そうだなって最初の頃は思ってたけど何年か務めてるとその重要性に気がついてくる。


「分かった、犯人探し手伝ってあげる。で、報酬は?」

「報酬渡した方が旦那に嫌な顔されない?」

「大丈夫、これは取引だから。
ってことで駅前のタルト買ってきて」

「えー、あそこめっちゃ並ぶんだけど」

「だからこそじゃん。あ、季節の限定タルトでよろしく〜」


白井は立ち上がりながら陽気に指示をして休憩スペースを後にする。
あれ、俺前川さんにお願いしたつもりだったけど。まあ引き受けてくれるみたいだからいっか。
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