都合のいい女になるはずが溺愛されてます
金曜日、その日は岡田と飲みに行く約束をしていた。


「おっ、お前ら飲み行くのか。俺も同行していい?」


どこに行こうか話しながら帰る準備をしていたら営業二課の同期、伊藤が話しかけてきた。
俺こいつ苦手なんだよな。


「久々にこれで勝ったから奢ってやるよ」


これ、と言いながら丸めた手でひねる動作を繰り返す伊藤。
ああ、パチンコね。相変わらずギャンブルにハマってるらしい。


「え!いいんですか?」

「おう、どこでも連れてってやる」

「じゃあお言葉に甘えて〜。俺今日焼き鳥の気分です」

「焼き鳥いいねぇ、いい店知ってるから行こうぜ」


現金な岡田はすぐ食いついたから仕方なく3人で飲むことに。
最寄り駅の近くの焼き鳥屋に入ってしばらくは楽しく飲んでいた。


「佐久間お前、見損なったぞ」

「なにが?」

「あんな地味女で終わっていいのかよお前」


しかし、酔いが回った伊藤に話しかけられて帰りたくなった。
出た、こいつの悪い所。
羽振りいいけど酔ったらかなりだるいんだよな。
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