都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈ん家のシャンプーいい匂いするね」

「へ?あ、そうですかよかったです」


ところが5分くらいで佐久間はバスルームから出てきた。
ギリギリセーフ、とりあえず部屋の中点検したから大丈夫だと思う。

佐久間は濡れた髪を後ろに流してるから色気が倍増していた。
オールバックも似合うんだ……ずるい。


「なにしてんの?」

「酔い覚ましに緑茶がいいって聞いたからいれようと思って。
冷たいのと温かいのどっちがいいですか?」

「仁奈のお腹冷やしちゃいけないから温かいのにする」

「あ……はい」


無理やり押しかけたのに気遣いされて複雑な気持ち。
用意していたマグカップにお茶注いで渡したら微笑みながら「ありがと」と言って受け取った。

佐久間、これは錯覚するに決まってるよ。
付き合うつもりないのに付き合ってるみたいに振る舞うのはダメでしょ。

いったい倫理観をどこに落としちゃったの?
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