都合のいい女になるはずが溺愛されてます
なんと返信はOKだった。
まさか来てくれるとは思わなくて俺がそわそわしてしまう。
それから30分後、アンニュイな美人が俺たちの前に現れた。

え、いつもとメイク違うじゃん。見慣れてないからドキドキする。


「ごめん仁奈、急に呼び出して」

「いいよ別に。奢ってくれるって言うから張り切って来た」


仁奈、と呼んだら岡田が「え?」と声を出すもんだから口元に人差し指を立てて静かにと促した。


「へえ、ニナちゃんっていうんだ」


一方の伊藤は全く気づいていないみたいてニタニタ笑って気持ち悪い。
おい、俺の仁奈になんつー薄汚い目を向けてんだよその顔ビンタしてやりてえ。


「あれ、伊藤さんお疲れ様です」

「は?」


伊藤にガン飛ばしたら仁奈が普通に挨拶するから今度は俺がニヤッと笑った。


「岡田くんもお疲れ様」

「お疲れ様です!えっとちなみに……遠藤さんですよね?」


岡田は我慢しきれなかったらしくついに仁奈本人に質問した。
仁奈は「はい」と真顔で返事して空いてる俺の隣に座った。

仁奈の匂いがする。あー、癒される。


「え、遠藤さん!?嘘だろ!」


伊藤は馬鹿でかい声を上げて目をかっぴらいていた。
手に持っていたビールジョッキが揺れて少し中身がこぼれた。

それそれ、そういうリアクションが欲しかったんだよ。
嬉しくて仁奈の肩を抱き寄せた。
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