都合のいい女になるはずが溺愛されてます
すると、噂をすれば影がさす。
肩に脚立を掛け、片手に蛍光灯を持ってこっちに向かってくる仁奈が現れた。
歴戦の戦士みたいな登場でウケる。


「あ、ギャップの遠藤さん」

「なんですかその呼び方、ダサいです」


岡田が話しかけたら仁奈は不可解な顔をして立ち止まる。
相変わらずの冷静なツッコミに自然と頬がゆるむ。


「あっはは、ブレねーなぁ仁奈ちゃん。
これ倉庫に持ってくの?手伝うよ」

「え、持てるから大丈夫ですよ」

「いや、普通に重いじゃん。よくこれ肩にかけて持ってたね」

「……ありがとうございます」


脚立が重そうだから持ってあげたら遠慮されたけど、なんだかんだ嬉しそう。
にやけないように必死に我慢してるその顔がすでにかわいいんだって。

あー、かわいいな。早く結婚したい。
結婚は来年にしたいって言ったけど、来年まで待つ必要ある?
俺も仁奈もいい歳だし、社内の人間ほとんど俺らが付き合ってるって知ってるし。

……よし、決めた。


「なんでニヤニヤしてるんですか」

「秘密〜」


ニヤついてるの速攻バレたけど笑ってかわした。
仁奈は「絶対ろくなこと考えてない」と呟いてたけどそれはどうかな。
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