都合のいい女になるはずが溺愛されてます
不安を隠すようにはしゃいでいたらいつの間にかとっぷり日が暮れていた。
夜、人気のないベンチに座って遠くからパレードの灯りを眺めていた。
しばらくして花火が上がって、もうそんな時間かと現実に戻る。
「そろそろ帰ります?」と声をかけると佐久間が手に何かを持っていた


「まだ帰んないよ」


首を横に振りながら手の内にあった小さな白い箱を私に渡す。


「仁奈ちゃん、はいコレ」

「なんですか?」


受け取ってそれと佐久間の顔を交互に見る。
澄ました顔は不意に含みを持たせた笑みに変わる。
表情の意味が分からなくて首を傾げたその時、佐久間の口が開いた。




「俺と結婚しよ」

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