都合のいい女になるはずが溺愛されてます
結婚?……結婚って言った?
あまりにも唐突すぎる発言に思考が停止した。
だって、まだずっと先の話だと思ってたから。


「結婚は来年って言ったけど我慢できませんでした」

「え?」

「今年中に結婚したいです」


あえて敬語で、あざとく上目遣いなのはたぶんわざと。
佐久間らしいプロポーズの仕方に妙に納得した。

でも、こういう時の返事ってどうするべき?


「慎んで、お受けいたします…?」

「なんで疑問形なの」


とにかく返事しなきゃ、混乱する頭で答えたら笑われた。


「だって、まさか今日こんなことになると思わなくて」

「びっくりした?」

「はい……」

「そっか、よかった」


佐久間は満面の笑みで、私が驚いたことに喜んでいる。
さすがの私もプロポーズされたことはないからどういう反応が正解か分からない。
だけど佐久間の笑顔を見たらこれでいいのかなって安心して笑った。
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