都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「変なの」


ダイニングテーブルに座って、笑いながら呟いた佐久間。
またおかしなこと言うつもりかな。
構えたけど的は外れて、私が一番好きな笑顔で笑った。


「すっげー幸せ」


本当に、いい意味でも悪い意味でもこの男は心臓に悪すぎる。
そんな無邪気な笑顔で甘い言葉を口にするのはやめてってば。
どれだけ私の心を揺さぶれば気が済むの。

顔は火が出そうなくらい熱いのに、じんわり胸の辺りが温かくて変な感じ。


「幸せにするって言っといて俺が幸せなの。意味わかんないね」


出会った頃はお互いに興味なかったのに、こんなことになるなんて。
未だに信じられないって心のどこかで思ってる。

でもそんな幸せそうな顔で笑うんだから、いい加減心変わりしたと認めるべきかな。
つまらない強がりばっかりじゃなくて誠実に向き合わないとダメだよね。

照れくさいけど「私も幸せだよ」と精一杯の笑顔で応えた。
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