都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「結局ギリギリじゃないですか」

「食欲より性欲が勝ったね、ウケる」


予約した時間ギリギリにお店について駐車場に車を停める。
はぁ、ヒヤヒヤした。道が空いてたのがせめてもの救いだった。

それにしても、反省の色なさすぎでしょ。


「ウケるじゃないです、今日楽しみにしてたのに」

「いいじゃん、運動した方が腹減っていっぱい食べれるし」

「最低」


ギロ、睨んだつもりなのに佐久間は「あはっ」と満足げに笑う。


「最近仁奈に罵られてもムラッとするようになったからやめた方がいいよ」

「じゃあどうすればいいんです?ビンタくらいしか思いつかない」

「仁奈はビンタよりデコピン強ぇじゃん」

「では今度からデコピンで対処させていただきます」

「嫌だけど仁奈の気が晴れるならいいよ」


すっごく嫌そうに目を細めながら車から出て鍵を閉める佐久間。
その顔が可愛いなと思うあたり、よほどの事がない限りデコピンはしない気がする。
ほんと、顔がいいってずるいな。
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