都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ご機嫌ですね」

「んー?そう見える?」

「あの子たちタイプでした?」


映画館を目指して歩いてたら、仁奈が滅多に聞かないようなことを口にした。
もしかしてあのギャルに気があるって思われてる?


「もしかしてヤキモチ妬いてんの?」

「……ちょっと」


いつもなら『違います』って否定するのに認めた。
はぁ?なんだよちょっとって、なんだよその上目遣いずるいって!

はぁ、仁奈がかわいすぎてしんどい。


「あの……陸?」

「不安にさせてごめん。
でもさ、あんなのに俺がなびくわけねーじゃん」


嬉しすぎて満面の笑みで答えたら仁奈は目を丸くした。
あれ、そんなだらしない面してる?


「じゃあ、なんでそんなニコニコしてるんです?」

「俺の嫁っていい響きだなと思ったの」

「え、それだけ?」

「それだけ。あと今日の仁奈の服装好きだなって」

「そう、なんだ……」


勘違いしてたと分かって耳まで真っ赤にしてうつむいた仁奈。
あー、かわいい。家なら押し倒してる。
ずるいんだよな、普段澄ました顔してんのにそのギャップ。

やっぱ仁奈以外考えられねーわ。
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