都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈ちゃん今日もかわいいね」

「おだてたって無駄です」

「……好き」

「っ……いじわる!そうやって言いくるめようとしたってダメですから」


本心なのに失礼だな。
まあ、そんなとこも愛しくて好きだけど。


「浴衣楽しみにしてるね」

「着ませんってば!」

「あーあ、いじけちゃった」


ちょっといじめすぎたかな。
でもたぶん数時間もすれば機嫌直ると思う。
なにせ数時間後には仁奈宛のプレゼントが届くから。

にしても、出会った頃はこんなに表情豊かでおもしろい人間だと思わなかった。
入社した時から仏頂面だったもんな、ある意味目立ってた。


「ほんっと性格悪い、人の顔見てニヤニヤするなんて」

「は?違うって、いろいろ思い出してただけ」


違うと弁解したけど信じてもらえず、仁奈はフンと鼻を鳴らしてまた唇をとがらせた。
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