都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈ちゃん、はいどーぞ」

「……はい?」


数時間後、予定通り頼んでた物が家に届いた。
さっそくダンボールごと仁奈に渡す。


「開けてみて、今すぐ。はい、カッター」

「あ、ありがとうございます?」


混乱してる仁奈にカッターを渡して開けさせる。
中から出てきたのは、淡い紫の髪飾り。
立体的な花の形で和風な感じが仁奈にピッタリだと思う。

仁奈はそれを優しく手に取って、俺と顔を見合わせた。
びっくりして目をぱちくりさせている。あは、久々にそのかわいいマヌケ顔見た。


「ちゃんと浴衣と合わせてみた。どう?」

「なんでこんな、センスがいいの……」


こういう時、なぜか悔しそうな顔をする仁奈。
最近それが照れ隠しだって知って尚嬉しくなる。


「惚れ直した?」


そう聞くとついに我慢できなくて「んふふ……」と口元を抑えながら笑い出す。
嬉しいんだ、言葉にしなくてもそれが伝わった。


「浴衣着て、これ付けて花火大会行こーね」

「ふふ、晴れたらいいですね」


天気予報、どうだったけ。
ま、俺は仁奈がいれば天気なんてどーでもいいけど。
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