都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「で、何が腹立つって?」


うたた寝から起こされて作ってくれた朝食を食べようとしたら佐久間に質問された。
やっぱり私の独り言聞こえてたじゃん。


「肌が綺麗すぎてイラッとしました」

「仁奈の肌も綺麗なのに?」

「私はそばかすがあるじゃないですか」

「仁奈のそばかすはかわいいと思う」

「っ、そんなこと言うから佐久間さんに近づいた女の子がみんな勘違いするんですよ」


これ以上私の弱い所をつつかないでほしいからついに言ってやった。
佐久間は眉毛を動かして少し驚いたようなリアクションをする。


「女って想像力豊かだからすぐ勘違いするんです。
軽率にかわいいなんて言わないでください」

「かわいいって言い続けたら俺のこと好きになる?」


なに、その質問。
こいつ一体何がしたいの?


「好きになるって言ったら、どうします?」

「えー、どうしよっかな」


一か八か賭けてみたけどヘラヘラ笑うばかりでそれ以上は答えない。
はあ、その気は全くないってことね。期待した私がバカだった。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さま」

「佐久間さん、私本当に大丈夫なので帰っていいですから」


返事は聞かずに食器をシンクに持っていく。
部屋に戻って、佐久間と顔を合わせないようにベットに直行してまぶたを閉じた。
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