都合のいい女になるはずが溺愛されてます
カーテンの隙間からこぼれる日差しに目を覚ました。
もう一眠りしようかなと思って寝返りを打ったら全裸の佐久間が隣ですやすや眠っている。

一気に眠気が冷めて自分も何も身につけていないことに気がつく。
おそるおそるベットの周りを確認したら使用済みのティッシュがいっぱい落ちていた。


「うわぁ……」


恥ずかしいのかなんなのか、変な声が出た。
重たい身体にムチを打って散らばったティッシュをゴミ箱に投げ捨てていく。

見過ごせなかったのは、佐久間が目を覚ましたら絶対いじってくると思ったから。
昨夜のことはぶっちゃけもう忘れたい。
あんなに我を忘れて求めたのは熱に浮かれたせいだと思いたい。

とにかく佐久間を起こさないようにそっとベットから離れてシャワーを浴びるために風呂場に向かった。


「仁奈……?」


身体だけ流して戻ってきたら佐久間が目をつぶったまま布団の中に手を突っ込んで何かを探っている。
え、もしかして私を探してる?
なにそれ、佐久間のくせにめちゃくちゃかわいい。


「あれ、なんで起きてんの?」


半目でこっちを見る佐久間は無防備に首をかしげる。
狙ってないみたいだけどキュンとしてしまってなんか悔しい。


「シャワー浴びてたんです」

「じゃあ早くこっちおいで、風邪引いてるんだから」


手招きされてベットの近くまで来たら手首を掴まれて布団の中に引き込まれた。
少しあったまってから出るつもりが眠くなってきて、結局佐久間と一緒に二度寝した。
< 48 / 263 >

この作品をシェア

pagetop