都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「あの、何が目的でしょう」

「特にない」

「は?」

「けど、ちょっと遠藤さんに興味ある」

「そうですか、それはちょっと趣味が悪いですね」


すると佐久間は「それ自分で言う?」と笑い出した。
肩を震わせて楽しそうに笑う様子からして、どうやら彼はツボが浅いらしい。

笑ってるうちに退散しようかな、背中を向けたらグイッと腕を引っ張られた。
びっくりして振り返ったら、目と鼻の先に彼の顔があった。


「あのさ、遠藤さんお酒強い?」

「それなりに」

「今日飲み行かない?奢るから」

「……はぁ」


本当にこいつ、何が目的なんだろう。


「今日部長と飲み行く予定だったんだけどお孫さんが生まれそうらしくて」

「ああ、そろそろおじいちゃんになるらしいって聞きました」

「そうそう。で、遠藤さんどうかなと思って。今日予定ある?」


なんで私?腐るほど女いるはずなのに。
まあ、私に女として興味はないだろうから誘いに乗ってもいっか。
……それはそれで癪に障るけど。
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