都合のいい女になるはずが溺愛されてます
金曜日、佐久間にハンバーグを作ると約束した日。
会社に荷物が届いたのでダンボールを抱え目的の場所まで移動していたら後ろから声をかけられた。


「あの、これ落としましたよ」


なんだろうと思って振り返ったらラッコのキーホルダーが一番最初に目についた。
やば、それ佐久間の家の合鍵!


「ありがとうございます、手が塞がってるから荷物の上に置いてもらえますか?」


焦ってぎこちない笑顔を浮かべた時、声をかけてくれた子が岡田くんだと気がついた。
近くで見たら事務のおばさんが『営業部にかわいい子入ったのよ〜』と騒ぐ理由がよく分かった。

佐久間とはジャンルが違うけどかなりイケメンだ。


「そしたら俺が荷物持つんで鍵受け取ってください」

「いや、それは申し訳ないので鍵だけください」

「大丈夫、力持ちなんで!」


遠慮したのに荷物をかっさらわれた。
片手でダンボールを持ち、私に鍵を渡しながら「どこに持っていけばいいですか?」と笑う。
うわ、キラキラして爽やかな笑み。眩しくて直視できない。

新卒って、若いってすごいなぁ。
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