都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「あ、佐久間先輩」
「あ、じゃねーわ。課長がお前のこと呼んでるから行ってこい」
岡田くんは私と違ってあっけらかんとしている。
この子、ほんと肝座ってるな。
「これ運んでからで大丈夫ですか?」
「バカ、上司に呼ばれたらすぐ行け。
それは俺が持つからいいよ」
「はい、お願いします。お届け先は事務室です!」
「……分かった分かった、行ってこい」
佐久間は私たちの目の前まで歩いてくると岡田くんが持っていた荷物を受け取って私の隣に並んだ。
岡田くんは風のように去っていって誰もいない廊下にふたりきりにされた。
まずい、手の後ろに隠した鍵がバレるのも時間の問題だ。
「仁奈ちゃん、なーんで鍵を職場に持ってきてんの?」
と思ったらもう既にバレてた。
どうしよう、言い訳は苦手なのに。
「ら、ラッコがかわいいから」
しょうもない嘘をつくと佐久間は歩き出してため息をついた。
「今どきの小学生の方がもっとマシなウソつくわ。本当は?」
「あの、その……今日のお泊まり、楽しみだったんです……忘れないように肌身離さず持っておこうと思って」
佐久間の歩幅に合わせて私も後をついていく。
すると佐久間は横目でチラッと私を見て笑った。
え、なんで笑ったの?
「職場でよかったね」
「へ?」
「そうじゃなかったら押し倒してた」
「っ……」
まさか職場で官能的に囁いてくるとは思わなかった。
びっくりして恥ずかしくて押し黙る。
あれ、おかしいな。今までの私なら言い返せたのに。
好きだって意識すると人間ってこんなにつまらなくなるの?
「あ、じゃねーわ。課長がお前のこと呼んでるから行ってこい」
岡田くんは私と違ってあっけらかんとしている。
この子、ほんと肝座ってるな。
「これ運んでからで大丈夫ですか?」
「バカ、上司に呼ばれたらすぐ行け。
それは俺が持つからいいよ」
「はい、お願いします。お届け先は事務室です!」
「……分かった分かった、行ってこい」
佐久間は私たちの目の前まで歩いてくると岡田くんが持っていた荷物を受け取って私の隣に並んだ。
岡田くんは風のように去っていって誰もいない廊下にふたりきりにされた。
まずい、手の後ろに隠した鍵がバレるのも時間の問題だ。
「仁奈ちゃん、なーんで鍵を職場に持ってきてんの?」
と思ったらもう既にバレてた。
どうしよう、言い訳は苦手なのに。
「ら、ラッコがかわいいから」
しょうもない嘘をつくと佐久間は歩き出してため息をついた。
「今どきの小学生の方がもっとマシなウソつくわ。本当は?」
「あの、その……今日のお泊まり、楽しみだったんです……忘れないように肌身離さず持っておこうと思って」
佐久間の歩幅に合わせて私も後をついていく。
すると佐久間は横目でチラッと私を見て笑った。
え、なんで笑ったの?
「職場でよかったね」
「へ?」
「そうじゃなかったら押し倒してた」
「っ……」
まさか職場で官能的に囁いてくるとは思わなかった。
びっくりして恥ずかしくて押し黙る。
あれ、おかしいな。今までの私なら言い返せたのに。
好きだって意識すると人間ってこんなにつまらなくなるの?