都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「てか仁奈、ああいうのがタイプ?」

「は、はい?」


しっかりしろ自分。手の中のラッコを握りしめたら佐久間がまた話しかけてきた。


「岡田みたい男が好き?」

「異性としては見てないけど人間としてはおもしろいと思います」

「ふーん」


答えを聞いた佐久間はつまらなさそう。
私に何を求めてるんだろう。


「佐久間さんにない純粋さがあっていいですね」

「はぁ?喧嘩売ってる?今夜こそ泣かすわ」

「嫌です、ごめんなさい」


おちょくったら眉間にシワを寄せて睨んできた。

こういう答えを求めてると思ったのに違った?
今の質問、どう答えたら正解だったの?


「嫌なら家に来なきゃいいじゃん」

「え、でも……ハンバーグ、練習したのに……」


冷たく吐き捨てられて口ごもった。
佐久間ってこんなことで怒る人だったっけ?

分からなくて下を向いたら、佐久間は突然立ち止まった。




「仁奈、今すぐどっか行って」





< 99 / 263 >

この作品をシェア

pagetop