2番目の恋
「どんなのが欲しいの?」

笹崎が私の方を見る。

「咲良のオモチャとか絵本を入れる箱が欲しいの。」

そう言うと、笹崎は「はこ、はこ〜」と言いながらカートを押し進める。

たまに咲良に笑いかける。

こんな姿を、前の旦那の時は見たことがなかった。

笹崎が丁度いいプラスチック製の収納ボックスを見つける。

「これいい。」

1個750円。
買える。

「何個?」と笹崎が言う。

「1個でいいよ。」
「足りる?」
「そんなに必要ないよ。」

そう答えると目が合う。

「美織、ちゃんと生活してんだな。」
「どういう意味?」
「高校の時のイメージだと5つくらい買いそうじゃん。」

笹崎がそう言って笑う。
そして「5個買っちゃお〜」と、似てない私の真似をする。

「買わないよ〜750円でも高いからね?」

そう言うと、笹崎は笑った。

失礼な。

念願の収納ボックスを一つだけ購入して、私たちは店を出た。

「どうする?」

運転席に座った笹崎が振り向いてくる。

「んー、私、咲良と公園に遊びに行こうかと思ってた。」
「おーどこ?」
「・・・」

黙ってると笹崎の口から「桜ヶ丘公園?」と出た。

「行ってくれんの?」
「行くよ。」

さすが笹崎は優しい。

< 15 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop