幸福音
「これって。……歌詞?」

「そうだよ! お前の弟に演奏するんだろ!?」

「えっ。じゃあ、考えさせて、って言ったのは……」

「曲を考えていたんだよ!」



時間がなくなってくる。

そう伝えると、椎名はごしごしと涙を拭いてから走り出した。



「こっち!」



椎名のあとをついていく俺。


夕日を背に真っ直ぐに走り抜ける。


待ってろよ!

椎名の弟!
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