幸福音
あの日。

音楽室で感じた高揚感が再び湧き上がる。


体中で音を奏でている感じがする。


この部屋がステージのようで。

電子ピアノがグランドピアノに見えて。

椎名の制服がドレスのように見えて。

その演奏を聴いている椎名の弟が座っている椅子は特等席。


音楽をやっていてよかった、と思う瞬間だった。


今まで都庁でしか弾いたことがなかったけれど、誰かのためだけに奏でる音楽も悪くはない。


むしろ。

そのために俺は生まれてきたんだ、と思える。


椎名の弟と目が合う。

目は見えないかもしれないけど、音楽を通して心で繋がっている。

そんな感じがした。


椎名の弟がいてこそ、この場がステージとなる。


こんな感覚は初めてだ。

音楽をやっていてよかった。




END,
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