もしこの気持ちを伝えたなら
「まぁそうなの?、それはすごい、さすが優馬。
なら午後からの実力テストは大丈夫ね」

知華先生はわざとらしく大きくリアクションする。
全く優馬は馬鹿だ。自分でハードルをあげてどうする。
なぜこいつは1組なのだろうか。まぁ成績はいいのだろうが。

「あ、やべ。」

優馬がしまったと言う顔をするがもう遅い。知華先生はすでにしてやったりと不敵な笑みを浮かべている。まるでいたずらを企む子供みたいに。

「完璧な優馬のテストの点数は真っ先に顧問の橋本先生に報告しておかないとね」

ニヤニヤしながらメモするふりをする。

「いや知華ちゃん、それは勘弁して〜」

「こら、さっき言ったばっかりでしょ。
もうこれはぜーったいに橋本先生に伝えておきますからね!」

クラスがドッと笑いに包まれた。
優馬もすでに他の奴らと笑ってる。

「あっ、そういや知華先生ってもう担任になれるの?」

優馬が唐突に聞いた。確かに言われてみればそうだ。山﨑先生は昨年臨時教員としてうちの高校に赴任してきた。まだちゃんとした高校教諭ではなかったはずだ。

「私は副担任だよ〜。まだ担任は無理だよ〜、今年やっと受かったんだもん」

まだ無理〜と言いながら手を振りながら答える。
昨年まで臨時教員だった彼女は教員試験に受かり今年から高校教師として正式にこの学校で働くらしい。

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