もしこの気持ちを伝えたなら
「・・きー、あっきー、あっきーってば!」

俺が席に戻り、さっきのウインクと言葉の余韻に浸っていると隣の席の中川紗枝が声をかけてきた。
ポニーテールがよく似合う活発な女の子でバレー部に入ってた気がする。

「お、おう中川どうした?」

もうせっかく人が至福の瞬間の余韻に浸ってたのに何だよ。

「いや、あのさ、」

中川の顔が赤い。具合でも悪いのだろうか?

「中川〜熱あんの?顔赤いぞ?」

「ふぇ?う、嘘!?そんなことないよ、元気元気」

ふぇ?何じゃそりゃ。
中川が頭がとれるんじゃないかってくらい手と首を高速で振る。
そんな首を振らなくても。

「そうか?」

気のせいか?いや、絶対赤いよな。俺はよく見るために顔をちょっと近づけた。

「ほ、ほんと大丈夫だから。気にしないで。」

強めに肩を押され距離をとられてしまった。もしかして気持ち悪がられた?
こころなしかさっきよりも顔が赤い気がする。
そうか、熱ではなく、怒っているのか。知華先生にデリカシーのない質問をしてた俺たちに怒ってるんだな。そしていきなり近づいたからさらに怒って顔を赤くしてるのか。しまったな。
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