もしこの気持ちを伝えたなら
「ご、ごめん!それでなんか用でもあった?」

これ以上気まずくならないように急いで話を戻す。

「あ、うん、別に用ってわけでもないんだけどさ、」

またちょっと間を開けて中川が続ける。

「せ、席隣だから、よろしくねって言おうとしたの」

「お、おうそうだな、よろしくな中川」

「さ、紗枝でいいよ。
また同じクラスなんだし」

「そうか?わかった、じゃあ、改めてよろしくな、さ、紗枝」

呼んだは良いものの、苗字で読んでいた人をいきなり名前呼びは少し気恥ずかしかったから頭をかき恥ずかしいのを誤魔化した。

「うん!とりあえずまたよろしく!ひなに呼ばれたから行くね」

彼女の顔がパァッと明るくなった気がしたが気のせいだろう。
笑顔で答える紗枝はそう言って教室を出て行った。
さて俺も体育館行くかな。
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