1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ
「私だ……」
菜々美は鞄から携帯を出した
「もしもし、うん、うん、わかった、迎えに行く…………はぁ……」
「菜々美?」
「ごめん」
「どっち?」
「琴ちゃん、熱があって、咳もひどいって…
何で朝気づかなかったんだろ」
菜々美の顔が急に曇る
「菜々美は自分を責めちゃいけないよ
だって俺だって昨日菜々美に言われるまで気づかなかったんだし、急に熱が出ることだってあるよ」
「ありがと」
菜々美は帰る支度を始めた
「あと1時間くらいは一緒にいれると思ったんだけどな」
少し寂しそうな笑顔を見せた
本音だろう
菜々美はベッドの上の裸の海斗にキスをした
「ごめんね、琴ちゃんを迎えに行ってくる……」
「……菜々美」
菜々美は海斗の家をあとにした
まだ高1なのにお母さんみたいな顔に変わった
琴ちゃんも確かに心配だけど昨日ならお父さんがいたのに……
1日違うだけで菜々美の生活が変わる
次の日から金曜日まで菜々美は学校に来なかった……
金曜日の部活の帰りに菜々美の家に寄った
「あっ、わざわざありがとう、部活で疲れてるのに」
こういう一言は菜々美らしい
プリント類も渡した
「まだ琴ちゃんはひどい?」
「喘息でね…あっ上がって」
上がってからリビングを覗く
「健」
リビングにいた健に声をかけた
健と2人で台所の椅子に座った