1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ
サッカー部は冬休みに入るとすぐ合宿に入っていた
海斗は少し足の違和感を感じて休ませてもらうことにした
まどかが寄ってくる
「大丈夫?」
「あぁ、ちょっと休む」
「温める?」
「そうだな」
海斗はまどかと宿舎に戻った
「蒸しタオル作るね、サポーターは持ってないの?」
「家にある、母さんに後で持ってきてもらうよ」
まどかが蒸しタオルを海斗の足に当てた
「中学の頃、もう少し海斗の怪我の事をわかってたらまた違ったのかな……」
「過去の事を言っても仕方ないよ」
「まだ彼女と上手くいってるの?」
「そうだな」
「デートしたり?」
「いや、それはあんまり、お互い忙しいからな」
「海斗、私と同じことをしてない?
成田さんはデートしなくても文句言わないの?」
「言わないな(笑)まどかとは違う」
むしろ会えないのは向こうの方が忙しいし
「俺らはインドア派なんだよ、お前は連れ出してくれる彼氏を見つけるんだな」
「はぁ、もう何で彼女なのよ」
「お前、もういいから仕事に戻れよ」
「わかったわよ」
琴ちゃんの喘息以来、家には行っていない
お父さんが年末年始に忙しくなるから
休みをとったり、会社内勤務が続いたのだ
菜々美の方は俺の存在をお父さんには知らせてない
もちろん義父という立場もあるだろう
まあ、教室では会えていたし不安はなかったのだが長期休みになると気にはなる
合宿が終わると年末年始は今度はうちの方が毎年出かける
完全にすれ違うことはわかっていた
元カノのまどかなら完全に喧嘩になっていただろう
会えなくても今の俺には安心感があった